2020年1月15日水曜日

小田原寺子屋スクール 令和2年1月度の授業

令和2年1月12日(日)に1月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 授業の最初に、朝日新聞の朝刊のコラム「折々のことば」に掲載された『論語』のことば「子曰、過而不改、是謂過矣」について学びました。人はよく過つ不完全な存在。人の評価はむしろ過ちと知った後の身の処し方で決まる。そこをこそ過つな、という教えです。『論語』は2千数百年も昔からあり、現在もこうして取り上げられているという意味で、歴史的なベストセラーなのです。
 今月は、これまでに学んだ『論語』のことばの中から、「子曰く、学んで時に之を習う。亦た悦ばしからずや。朋あり、遠方より来る。亦た楽しからずや。人知らずして慍(いきど)おらず。亦た君子ならずや。」の解釈について、作家の高橋源一郎さんが著書「一億三千万人のための『論語』教室」に書いていることを学びました。最初の「学んで時に之を習う」はただ勉強するんじゃない「(弟子たちが集まり)温習会をひらく」ことなんだそうです。学校にみんなが集まって、センセイの前であれやこれや議論する、そういうのが楽しい。友だちが来ると楽しい。ひきこもりはいかんよ、といっているわけです。でも、他人と出会ったりすると、今度はその人が自分をどう思っているか、それが気になる。ほんとに人間は不便な生きものです。基本は、みんなと楽しく、でも他人の目は気にするな、と。
 授業の最後に、栗田先生は「のびのびとした姿勢で文章を読み、噛みしめる。意味を考える。自分のやり方でよい。それが大事なのです。」とおっしゃっていました。

【第二時限】風間亨先生(風間豆富店会長)

 風間先生は、終戦直後の貧しい時代に幼少期を小田原で過ごされ、地元の小・中・高校を卒業後、大学、約10年間のサラリーマン時代を経て、37歳のときに豆腐業界に転職されました。風間豆富店を立ち上げ、現在は会長としてご活躍中です。
 授業では、ご両親をはじめ、これまでに出会った方々からの、人生の節目で心に響いた言葉を紹介していただきました。中でも、大学のゼミの先生の言葉「艱難は忍耐を生み、忍耐は練達を生み、練達は希望を生む」は、特に印象に残っているそうです。
 昨今の少子高齢化、情報化、流通革命を背景に、小売業界は厳しい時代を迎えています。各家庭には冷蔵庫があり、スーパーができ、ネット販売が盛んになった結果、八百屋、魚屋など、近所のお店は姿を消し、毎年約4万件の小売業等が廃業または倒産しています。かつて全国で約5万軒あった豆腐店は現在7千軒ほどに減少しました。そんな中、先生は、利便性だけを追いかけていくと、最終的には消費者自身が困ることになる、とおっしゃっています。
 授業の最後に、豆腐の製法について解説していただき、これからの時代を生きる若い人達にメッセージをいただきました。
 ・理屈ではなく体験して欲しい。良いセンスを磨いて欲しい。
 ・読書を通じて、忍耐強く考えるようになって欲しい。
 ・倫理観、道徳観を持って欲しい。
 ・心身ともにタフであって欲しい。


 次回2月度の授業は、2月9日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は伏見勝先生(元報知新聞会長)をお招きします。伏見先生の講義タイトルは「こんな大人になってほしい」です。
 

2020年1月8日水曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年12月度の授業

令和元年12月15日(日)に12月度の授業を行いました。

【第一時限】北岡和義先生(元日大教授、アメリカ在住27年)

 北岡先生は、読売新聞の記者、横路孝弘衆議院議員秘書を経て1979年に渡米し、在米邦字紙の編集部長、2006年に帰国後、日本大学教授を務められ、現在フリージャーナリストとして活躍されています。授業では「なぜ、アメリカをめざしたのか」と題して、戦後史の体験的歴史観について解説していただきました。
 渡米の動機は憧れではなく好奇心で、多くの人々が世界中から集まるアメリカの多文化や多様な価値観をリアルに知りたいと思われたそうです。日本人にとっては価値のなさそうなものがアメリカ人にはとても価値あるものだったりします。日本人は日本の価値観で世界を見ています。歴史認識も同様です。韓国人なら誰もが知っている閔妃事件(李氏朝鮮の第26代王妃が日本人によって暗殺された事件)は、日本ではほとんど知られていません。伊藤博文が朝鮮人によって暗殺されたことは有名ですが。「トルーマンは正しかった」という原爆投下に対するアメリカ人の認識は、オバマ大統領の行動によって変わりました。
 アメリカのコインには「LIBERTY(自由)、IN GOD WE TRUST(神の御元に)、E PLURIBUS UNUM(多様性の統一)」という言葉が刻まれています。北岡先生は、生徒たちへ「これからの激動の時代を生きて行く上で、多様な価値観を認め合い、幸せになれる社会を目指して欲しい」とおっしゃっていました。


【第二時限】竹中透先生(本田技術研究所 主席研究員・工学博士)

 竹中先生は、ロボットベンチャー会社を経て本田技術研究所に入社され、1986年以来、30年以上にわたりロボットの研究開発に取り組んでこられました。授業では「ASIMOの歩行のしくみ」と題して、開発の過程と技術の進化について解説していただきました。
 1987年に開発した最初のモデルE0は1歩動かすのに30秒かかっていました。その後、研究開始から4年後の1990年に体の勢いを利用した動歩行を実現し、E3モデルで歩行速度3km/hを達成しました。最大の課題であった安定歩行は、足底にゴムを入れて路面の凹凸を吸収し、ゴムによる座りの悪さを、足首を曲げてバランスをとることで克服しました。人間的な制御を追求し、1991年のE4モデルでは高速歩行、2000年には自在歩行を実現しました。新型ASIMOは9km/hで走行し、片足ケンケンでターンすることや両足でジャンプすることができます。ASIMOの技術は、リハビリ用の歩行アシスト装置やハンズフリーで移動することができるUNI-CUB(一輪歩行装置)に活かされています。
 今後は、共に働き、遊び、学ぶことで人間をより活き活きと創造的にするようなロボット、人の生活の中で活躍する「柔らかい」ロボットを開発したいとおっしゃっていました。


 次回1月度の授業は、1月12日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は風間亨先生(風間豆腐店会長)をお招きします。風間先生の講義タイトルは「人生の節目で心に響いた言葉、そして今の仕事」です。

2019年11月13日水曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年11月度の授業

令和元年11月10日(日)に11月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、ラグビーワールドカップで有名になった日本代表の合言葉「ワンチーム」や「戦い」に関係する、中国の古典『孫子』の中の言葉を3つ学びました。『孫子』は、紀元前500年頃の武将で軍事研究者である孫武が書いたと伝えられる兵法書で、武田信玄や吉田松陰、ナポレオンも愛読したそうです。

◆善く戦う者は、これを勢いに求めて、人に責(もと)めず、ゆえによく人を択びて勢いに任ぜしむ。意味は「すぐれたリーダーは一人の力に期待しすぎない。チーム全体に勢いをつけることに努力する。」です。

◆善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以って敵の勝つべきを待つ。意味は「まずは相手のことより、自分のこと。負けないための準備をしっかりしよう。」です。

◆越人と呉人の相い悪(にく)むも、その舟を同じくして済(わた)りて風に遇う当たりては、相い救うこと左右の手の如し。意味は「仲が悪いメンバーも、納得できる共通の目的があれば、助け合って努力することになるよ。チームワークによって目的は達成できるんだ。」です。

まさに、ラグビーワールドカップで身近に感じることができた、現代に生きる言葉です。

【第二時限】金田新先生(元トヨタ自動車専務 元NHK専務理事放送総局長)

 金田先生は、トヨタ自動車でカナダに4年間、その後、同社広報の責任者を務められ、自動車の外国貿易の仕事に携わられました。授業では「自動車はどこまで進化するか?進化しなければいけないか」と題して、自動車の進化の歴史と今後について解説していただきました。
 20世紀の自動車産業は3回事業進化しました。最初が「規模の事業」で1908年のフォードモデルTの時代です。19世紀末のジョブショップ生産から大量生産、流れ生産へと進化しました。第二は「マーケティング事業」で、1925年にGMがクローズドボディ、モデルチェンジで台頭し、フォードを凌駕します。第三は「グローバルマーケティング事業」で世界市場が成立し、トヨタが生産の平準化、トヨタ生産方式、高い品質管理、効率輸送で「進化を遂げました。」そして、21世紀の自動車産業界には、グーグルや中国、インドなどのメーカが新規参入してきています。
 今後は、①みなさんの夢、技術がすべて解決するという信念、②実現策、解決策としての技術の進化、③次の進化を担う人、組織が大切です、と金田先生はおっしゃっています。


 次回12月度の授業は、12月15日(日)(第3日曜日)を予定しています。第一時限は10月度に予定していた北岡和義先生(元日大教授、アメリカ在住27年)、第二時限は竹中透先生(本田技術研究所 主席研究員・工学博士)をお招きします。竹中先生の講義タイトルは「ASIMOとその技術の応用」です。

2019年10月10日木曜日

小田原寺子屋スクール 授業中止のお知らせ

 令和元年10月13日(日)の授業は、台風19号の影響により中止いたします。第二時限に予定していました北岡和義先生の授業は、12月15日(日)の第一時限に行います。
 次回、11月度の授業は11月10日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は金田新先生(元トヨタ自動車専務、元NHK専務理事放送総局長)をお招きします。金田先生の講義タイトルは「自動車はどこまで進化するか」です。

2019年9月14日土曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年9月度の授業

令和元年9月8日(日)に9月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、現代の情報化社会に通じる、中国の3つのことばを学びました。
 一つ目の「流言は知者に止(とど)まる。」は、古代中国の思想家、荀子のことばで、無責任な噂や根拠のない話が横行しても、ものごとを冷静に判断できる人には通用しない、という意味です。流言は「詩経」や「書経」にも登場する根も葉もない噂のことで「流言蜚語」と4文字で表現することもあります。「蜚」という字は、ゴキブリを意味します。アメリカでは、トランプ大統領が大型ハリケーン「ドリアン」の進路予想をめぐって根拠のない話をこしらえ、広めているというニュースが報じられています。一方のトランプ氏は、フェイク(偽)ニュースが自身の予想を認めようとしない、と主張しています。栗田先生は、様々な情報に接する時、自分はどう考えるかが大切で、私たち一人ひとりが「知者」にならなければいけいないとおっしゃっています。
 二つ目のことば「好事は門を出でず、悪事は千里を行く。」(『北夢瑣言』より)は、善いことをしてもあまり世間に知られないが、悪事はたちまち千里の彼方まで知れ渡る、という意味です。三つ目のことば「囁き千里」(『淮南子』より)は、ないしょで話したことでも、すぐに人々に知られてしまう、という意味で「ささやき八丁」「こそこそ三里」ということばもあります。

【第二時限】伊藤みろ先生(フォトアーティスト・著述家、文化芸術プロデューサー)

 伊藤先生は、ドイツとアメリカで永住権を取得され、フォトアーティスト、映像作家として世界の写真文化の第一線で活躍されています。現在取り組まれている文化芸術プロジェクトは、2001年9月11日の「アメリカ同時多発テロ事件」をきっかけに、平和に貢献をしたいとの願いが出発点になっているそうです。アートを通して、世界の人々が「ひとつ」であるという人々の心のつながりを訴えていきたいとおっしゃっています。
 授業では、法隆寺回廊の柱やモナリザの微笑みと同じ起源をもつ中宮寺の菩薩像など、奈良には古代ギリシャ文化の影響を受けた建築物や仏像があることや、シルクロードと仏教文化の広がり、奈良・東大寺の大仏さまの起源などについて、石仏・仏像の写真を交えながら解説していただきました。伊藤先生から生徒たちへのメッセージは「世界の平和に役立つ人になってほしい」です。
 授業の最後に、バレエ・ダンサーの新井春双氏に伎楽バレエを披露していただきました。

 次回、10月度の授業は、10月13日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は北岡和義先生(元日大教授、アメリカ在住27年)をお招きます。北岡先生の講義タイトルは「なぜアメリカを目指したのか~戦後日本史の断面」です。

2019年8月3日土曜日

小田原寺子屋スクール 特別公開講座

 令和元年6月30日(日)に小田原市生涯学習センターけやきに於いて、小田原市・小田原市教育委員会との共催で第五回特別公開講座を開催いたしました。多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
 <第1部>「激変の時代の子育てはどうしたらよいか」
       和田重宏先生 はじめ塾第2代塾長   聞き手 石塚正孝 理事長
 <第2部>パネルディスカッション「人口減少・高齢化社会の行方と地方都市の未来への提案」
       司会 鈴木款 フジテレビ解説委員
       パネラー 黒岩祐治 神奈川県知事
            磯崎功典 キリンホールディングス社長
            宮崎純  ローソン常務執行役員
            福井康代 (株)ナビット社長


 9月度の授業は、9月8日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は伊藤みろ先生(文化芸術プロデューサー 映像作家)をお招きします。伊藤先生の講義タイトルは、「シルクロードと東大寺に残されたヘレニズム文化」です。  

2019年6月11日火曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年6月度の授業

 令和元年6月9日(日)に6月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、先月に引き続き、渋沢栄一とその著書『論語と算盤』について学びました。
 『論語』の中に「子曰く、富と貴きとはこれ人の欲するところなり。その道をもってせずしてこれを得れば処(お)らざるなり。貧と賤とはこれ人の悪(にく)む所なり。その道をもってせずして、これを得れば去らざるなり」という言葉があり、その意味は「財産と地位とは世間の人が欲しがるものだ。しかし正しい方法で得たものでなければ、それにあぐらをかいているのはおかしい。貧乏や身分が低いのは、みんなが嫌がるものだ。でも、自分は悪くないのに貧賤な暮らしを送らざるを得ないとすれば、それは恥ずかしいことではない。」です。
 渋沢栄一が生前、論語の一節を変えて作った言葉「為君子商 無為小人商」は、「君子の商となれ、小人の商となることなかれ」と読みます。ビジネスで成果を上げるだけではなく、社会に貢献する志を持つのが君主であり、不義・不正を犯すくらいなら、あえて『富貴栄達』の道をとらない覚悟をもつことも君子の商であるということです。渋沢栄一が考えた言葉「議理合一」は、お金を儲けるのは、りっぱな仕事だが、きちんと道徳を守り、もしお金が儲かったら、社会福祉など、そのお金を社会のために還元しなければいけない、という教えを説いています。

【第二時限】窪田哲夫先生(元拓殖大学日本文化研究所客員教授)

 今回は、窪田先生の故郷、新潟県長岡について紹介して頂き、幕末に活躍した長岡の英傑「河井継之助」について学びました。
 河井継之助は、近代的合理主義の考え方を持ち、武士として、長岡藩の重臣として、新政府軍に対抗する道を選んだ英雄的な人物です。江戸をはじめ、遠くは長崎まで遊学の旅に出て、歴史や世界の動き等、物事の原理を知ることに努め、藩政改革を実践しました。「武装中立」の考えを持ち、新政府軍との談判で戦闘を断りますが決裂、北越戦争へと突入します。河井継之助率いる長岡藩は、近代兵器を駆使して新政府軍と約3ケ月にわたって戦い、この戦いで負傷した継之助は42歳で亡くなりました。
 授業では、河井継之助が残した多くの名言の中から、「一忍可以支百勇、一静可以制百動」「民は国の本、吏は民の雇い」「漫然と多読するも、何の益かあらん。読書の功は細心精読するに在り」「志の高さ低さによって、男子(ひと)の価値がきまる」などについて解説して頂きました。有名なことば「やって見せ、言って聞かせて、させて見て、讃めてやらねば、人は動かじ」は、山本五十六が河井継之助のやり方を表現したものだそうです。
 窪田先生は、今回の授業を通じて、「ふるさと」やふるさとの人物、そして両親、兄弟、仲間を大切にしましょう、尊敬する人物を持つこと、とおっしゃっていました。


 次回、7月度の授業はありません。6月30日(日)13:15~小田原市生涯学習センターけやきホールにて特別公開講座を行います。詳細は、「特別公開講座尾のお知らせ」をご覧ください。