2016年11月23日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年11月度の授業

平成28年11月13日(日)に11月度の授業を行いました。

【第一時限】宮崎緑先生(千葉商科大学教授 国際教養学部長)

 宮崎先生は、NHKテレビ『ニュースセンター9時』で初の女性キャスターを務められ、現在は千葉商科大学の国際教養学部長としてご活躍中です。また、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の委員などを務められています。
 授業では、最新のニュースを取り上げ「なぜ、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が選ばれたか?」について解説して頂きました。クリントン氏にまつわる過去の事件、人種差別と女性差別に対するアメリカ人の考え方、トランプ氏のメッセージの分かりやすさなど、様々な理由があることを学びました。その中でも、宮崎先生が特に強調されたキーワードが「Identity Crisis」です。今のアメリカは、アフリカ系、ヒスパニック系といった移民が増加し、「英語を話す白人の国」ではなくなりつつあります。そのことを”実感”しているアメリカ人の危機感をトランプ氏が捉えたことがポイントであり、世界を視る時、頭や理屈ではなく”実感”が大事であることを教えて頂きました。2014年のスコットランドの独立運動、ロシアのクリミア半島占有、イギリスのEU脱退、いずれもIdentityを巡る問題で世界が揺れ動いていく中、子供たちへの期待を込めて「Think Globally, Act Locally(着眼大局 着手小局)」のメッセージでしめくくられました。


【第二時限】栗田亘先生

 今月は、中国第一の大河、長江とその沿岸の名所にまつわる漢詩を学びました。長江は全長6300キロメートルでアマゾン川、ナイル川に次いで世界第三位の長さです。有名な揚子江という呼び名は、長江の下流の名前です。川沿いには多くの大都市があり、栗田先生は、その一つ重慶から下流の上海までの約1300キロメートルを船で航行されました。途中にある世界最大級のダム「三峡ダム」や「白帝城」「黄鶴楼」などの名所を訪問され、現地で撮影された写真を紹介して頂きました。
 漢詩は、李白の有名な作品「早発白帝城」と「黄鶴楼送孟浩然之広陵」の2つを学びました。いずれの詩も1行7文字、4行の合計28文字で構成され、1、2、4行目の最後の漢字は韻を踏むというルールがあることを教えて頂きました。

 次回、12月度の授業は12月18日(日)(第3日曜日)を予定しています。第一時限は石沢賢二先生(国立極地研究所 極地工学グループ)で講義タイトルは「極寒と強風の中で活動する南極観測隊の生活」です。第二時限は窪田哲夫先生(ジェイアール東海エージェンシー元常務)に佐藤一斎の『言志四録』について講義して頂きます。

2016年11月5日土曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年10月度の授業

平成28年10月9日(日)に10月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 10月は、先月学んだ「西安」に続いて、中国の古都「洛陽」について学びました。洛陽は人口710万人の大都市で、西安から380キロメートルのところにあります。授業では、栗田先生が先月現地で撮影された写真を交えながら、現在の洛陽の様子を紹介していただきました。繁華街の通り、店番をしながら本を夢中で読んでいる子供、お葬式の道具店、高層ビル、世界遺産の「龍門石窟」、白居易の墓「白園」などです。
 芥川龍之介が書いた『杜子春』は洛陽を舞台とした作品で、授業ではその一節を学びました。また、洛陽に関係のある言葉「洛陽の紙価を高からしむ」の意味や白居易の代表作『長恨歌』のこと、唐の詩人・劉希夷が書いた詩の中の有名な一節「年々歳歳、花相似たり 歳歳年年 人同じからず」について学びました。

【第二時限】 瀬野和広先生(設計アトリエ代表取締役)

 瀬野先生は、建築家として家をつくる仕事に携わられ、テレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」では匠として活躍されています。山形県のご出身で、子どもの頃は、仲間と川の土手に穴を掘ってヨコ穴式住居をつくったり、藪の中にたて穴式住居をつくったり、冬になると2階建てのかまくらをつくって、夢中で遊んだそうです。樹の上にツリーハウスをつくろうとして、友達がケガをし途中であきらめたことや、家にあった庭の道具を勝手に持ち出してもご両親から叱られることがなかった、といったエピソードを先生が描かれた絵を交えて紹介していただきました。絵を描くことが趣味でもあり仕事でもあり、いつでもどこでも頭に浮かんだイメージを絵に描いて残されているそうです。授業では、年一冊のペースで描かれている、家のデザインやアイデアが詰まった携行用のスケッチブックの実物を見せて頂きました。
 最後に、人と人とのふれあいを大切にする”縁側づくり”のお話、「することがある。行くところがある。そして会う人がいる。」というメッセージを頂きました。


 次回、11月度の授業は、11月13日(日)を予定しています。第一時限は宮崎みどり先生(千葉商科大学教授 国際教養学部長)で、講義題名は「世界を視る目 国際社会の動きの見方」です。第二時限は栗田亘先生をお招きして行います。