2017年9月30日土曜日

小田原寺子屋スクール 平成29年9月度の授業

平成29年9月10日(日)に9月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、孔子について理解を深め、『論語』の中から孔子の一生と関連のある言葉を2つ学びました。孔子は紀元前550年に魯の国に生まれ、73歳で亡くなりました。孔子という呼び名は「孔先生」という意味で、姓は「孔」、名前は「丘」と言います。孔子の父は農民、母の一族は祈りや占いをする宗教者で、幼い頃、母の一族と暮らしたときに読み書きを学んだと思われ、「吾、少き(わかき)とき賤し(いやし)、故に鄙事(ひじ)に多能なり」という『論語』の一節は、少年時代、貧しかった孔子が生活のためにはどんな仕事でもしたので、いまでも多くのことができる、という意味です。
 また、「子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳従。七十従心所欲、不踰矩。」は、孔子が70歳を迎えた頃の言葉で、その意味と孔子が歩んできた一生について詳しく解説していただきました。なお、日本で70歳を表す言葉として一般に用いられる「古稀」は、唐代の大詩人、杜甫の一節「人生七十古来稀なり」が原典ということも学びました。

【第二時限】小松由佳先生(フォトグラファー)

 小松先生は、今年6月の公開講座で「K2への登頂」と題して、ご講演を頂きました。現在フォトグラファーとしてご活躍中です。授業では、シリア人でご主人のレドワンさんと共に、シリアの今と難民について、スライドや写真を交えながら解説して頂きました。シリアは今から40年程前にアサド大統領によって支配され、独裁政治の下、失業率が増加、市民の不満が高まっていきました。2011年に多くの市民が人権と自由を求めて立ち上がり、民主化運動へと発展しました。アサド政権は軍隊や警察の武力によって人々を制圧しようとし、武装した市民との間で内戦が勃発、内戦は今も続いています。
 内戦前のシリアはとても美しく、人々は家族や友人と過ごす憩いの時間(アラビア語でラーハ)を大切に暮らしていたそうです。ところが、内戦によって家族や友人、家を失い、難民として国外へ逃げなければならなくなりました。現在、難民は550万人にのぼり、約200万人の子供たちが教育を受けられずにいます。現在のシリアの人々、そして小松先生とご主人の願いは、何よりも内戦の終結であり、また難民への多くの支援が求められていることを教えて頂きました。


 次回、平成29年10月度の授業は、10月9日(月)(体育の日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は露木伸宏先生(運輸施設整備支援機構理事)をお招きします。露木先生の講義タイトルは「わが国の海 知る 守る 広げる」(注目を浴びる海上保安庁の話)です。