2018年6月14日木曜日

小田原寺子屋スクール 平成30年6月の授業

平成30年6月10日(日)に6月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は『荀子』と『論語』の中から3つの文章を学びました。そのうちの2つを紹介します。

 ◆是を是と謂い非を非と謂うを直と曰う。 『荀子』の一節

 正しいことを正しいと言い、間違っていることを間違っていると言う。そうした態度、姿勢こそ、正直でまっすぐな道というものです、という意味です。「是々非々」という言葉は、この文章から生まれました。荀子は、よいものはよいと判断できる人を「知者」、そういう判断の出来ない人を「愚者」と言いました。

 ◆人の生くるや直ければなり。これ罔くして生くるは、幸いにして免るるのみと。 『論語』の一節

 人生というものは、もともと、まっすぐで正直なものです。それを無視して曲がった生活をする人が、罰を受けず無事に過ごせたとしたら、それは偶然にそうなっただけなのです、という意味です。
 今、政治家や中央官庁の役人の「ウソ」が問題となっていますが、その人たちは「是を是と謂い非を非と謂う」ことができず「これ罔(な)くして」生きているのではないか、と多くの人が考えています。これまでの授業で、孔子をはじめ古代中国の先人たちの教えが現代に通じることを教えて頂きましたが、今月学んだ2つの言葉も今の日本に通じる教えと言えます。

【第二時限】北岡和義先生(ジャーナリスト、元日本大学教授、元読売新聞記者)

 北岡先生は、読売新聞記者、横路衆議院議員の秘書を務められ、1979年から27年間は米国で、その後は日本でジャーナリストとして活躍されています。授業では、米国という国とその歴史について教えて頂きました。
 米国は1776年に英国から独立しました。自由の女神は、独立運動を支援したフランス人の募金によって贈呈され、自由を求めて世界中からやって来る人々を受け入れてきた米国の象徴でもあります。しかし、現在のトランプ大統領の下では入国規制が行われています。トランプ大統領の対極にあたるのが第44代オバマ大統領です。2008年にシカゴで行われた大統領選の勝利演説では、白人も黒人も人種の壁を越えて初めて白人ではない大統領を選んだことに歓喜の涙を流したそうです。米国で最も偉大な大統領と言われているのは、奴隷解放を行った第16代大統領リンカーンです。1955年、ローザ・パークスはバスの運転手の命令に背き白人に席を譲るのを拒んだために逮捕され、その後、公民権運動が起こります。米国を改革してきたのは、白人ではなくマイノリティの人々であり、米国はWASPの国でなくなる、と先生はおっしゃっています。ロサンゼルスには多くのアジア人が住み、話されている言語は85~100ヶ国語に上ります。
 最後に、米国の貨幣には、LIBERTY、IN GOD WE TRUST、E PLURIBUS UNUM(多様性の統一)の3つの言葉が刻まれていることを教えて頂きました。


 次回、7月度の授業はありません。7月1日(日)13:30~小田原市生涯学習センターけやきホールにて特別公開講座を行います。詳細は、当ホームページの「特別公開講座のお知らせ」をご覧ください。