2019年6月5日水曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年5月度の授業

 令和元年5月12日(日)に5月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月の授業のテーマは、新しい一万円札に登場する渋沢栄一と『論語』です。渋沢栄一は、1840年に現在の埼玉県深谷市の豪農の子として生まれました。若い頃に江戸幕府に仕え、明治時代には大蔵省に勤務、その後、第一国立銀行をつくりました。現在の東京ガスや東京海上日動火災保険など約470社の会社の設立にかかわった実業家です。
 1916年に出版された書物『論語と算盤』の中で、渋沢栄一が取り上げている『論語』の一節を学びました。「子路曰く、民人あり、社稷(しゃしょく)あり。なんぞ必ずしも書を読みて、しかる後に学ぶとせん。」は、孔子の弟子の子路のことばで、「人々がいて、郷土のお社があるような環境であれば、現実から十分に学ぶことができます。どうして書物を読むことだけが、学ぶと言えるのでしょう。」という意味です。口ばかりで実践できないものはダメだということです。渋沢栄一は、机にすわって読書するだけを学問と思うのは間違っている、勉強を続けることと同時に生活の中から学ぶことを心がけるよう説いています。

【第二時限】関雅樹先生(元JR東海専務 新幹線鉄道事業本部長)

 関先生は、JR東海で新幹線鉄道事業本部長を務められ、現在、双葉鉄道工業の社長としてご活躍中です。授業では「東海道新幹線の技術-安全・進化する鉄道技術-」と題して、日本の大動脈である東海道新幹線とその技術について解説して頂きました。
 東海道新幹線の最高速度は285km/h、1日の利用者数は47万人、運行本数は368本にも上ります。たゆまぬ進化により、1964年の開業以来、乗車中のお客様の死傷事故はゼロ、1列車あたりの平均遅延時間は0.9分です。これは、安全、安定輸送を最優先し、ハード・ソフト対策に積極的に取り組んできた成果、社員の士気・規律・練度により裏打ちされた成果であるということを教えて頂きました。
 授業の後半では、動画を用いて地震対策の技術を解説して頂き、高架橋柱のせん断破壊を抑制するために開発された、鋼板による耐震補強やダンパーブレース工法と呼ばれる技術、列車の脱線を防止する脱線防止ガード、軟弱地盤対策のシートパイルについて学びました。また、東海道新幹線の路線には50ケ所の地震計、周辺の広範域には21ケ所のテラス(早期地震警報システム)が設置され、地震を検知して列車を緊急停止させることができるそうです。


 次回、6月度の授業は、6月9日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は窪田哲夫先生(元拓殖大学客員教授)をお招きします。窪田先生の講義タイトルは、「幕末の英傑「河合継之助」と佐藤一斎の「言志四録」-私に影響を与えてくれた故郷、長岡の歴史的人物-」です。

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