2020年1月8日水曜日

小田原寺子屋スクール 令和元年12月度の授業

令和元年12月15日(日)に12月度の授業を行いました。

【第一時限】北岡和義先生(元日大教授、アメリカ在住27年)

 北岡先生は、読売新聞の記者、横路孝弘衆議院議員秘書を経て1979年に渡米し、在米邦字紙の編集部長、2006年に帰国後、日本大学教授を務められ、現在フリージャーナリストとして活躍されています。授業では「なぜ、アメリカをめざしたのか」と題して、戦後史の体験的歴史観について解説していただきました。
 渡米の動機は憧れではなく好奇心で、多くの人々が世界中から集まるアメリカの多文化や多様な価値観をリアルに知りたいと思われたそうです。日本人にとっては価値のなさそうなものがアメリカ人にはとても価値あるものだったりします。日本人は日本の価値観で世界を見ています。歴史認識も同様です。韓国人なら誰もが知っている閔妃事件(李氏朝鮮の第26代王妃が日本人によって暗殺された事件)は、日本ではほとんど知られていません。伊藤博文が朝鮮人によって暗殺されたことは有名ですが。「トルーマンは正しかった」という原爆投下に対するアメリカ人の認識は、オバマ大統領の行動によって変わりました。
 アメリカのコインには「LIBERTY(自由)、IN GOD WE TRUST(神の御元に)、E PLURIBUS UNUM(多様性の統一)」という言葉が刻まれています。北岡先生は、生徒たちへ「これからの激動の時代を生きて行く上で、多様な価値観を認め合い、幸せになれる社会を目指して欲しい」とおっしゃっていました。


【第二時限】竹中透先生(本田技術研究所 主席研究員・工学博士)

 竹中先生は、ロボットベンチャー会社を経て本田技術研究所に入社され、1986年以来、30年以上にわたりロボットの研究開発に取り組んでこられました。授業では「ASIMOの歩行のしくみ」と題して、開発の過程と技術の進化について解説していただきました。
 1987年に開発した最初のモデルE0は1歩動かすのに30秒かかっていました。その後、研究開始から4年後の1990年に体の勢いを利用した動歩行を実現し、E3モデルで歩行速度3km/hを達成しました。最大の課題であった安定歩行は、足底にゴムを入れて路面の凹凸を吸収し、ゴムによる座りの悪さを、足首を曲げてバランスをとることで克服しました。人間的な制御を追求し、1991年のE4モデルでは高速歩行、2000年には自在歩行を実現しました。新型ASIMOは9km/hで走行し、片足ケンケンでターンすることや両足でジャンプすることができます。ASIMOの技術は、リハビリ用の歩行アシスト装置やハンズフリーで移動することができるUNI-CUB(一輪歩行装置)に活かされています。
 今後は、共に働き、遊び、学ぶことで人間をより活き活きと創造的にするようなロボット、人の生活の中で活躍する「柔らかい」ロボットを開発したいとおっしゃっていました。


 次回1月度の授業は、1月12日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は風間亨先生(風間豆腐店会長)をお招きします。風間先生の講義タイトルは「人生の節目で心に響いた言葉、そして今の仕事」です。

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