2019年1月16日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成31年1月度の授業

平成31年1月13日(日)に1月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、「漢字大国」と呼ばれる台湾の漢字について学びました。中国の漢字は、簡略化された「簡体字」(かんたいじ)で、日本人が見慣れた漢字と異なりますが、台湾では「繁体字」(はんたいじ)と呼ぶ、日本の漢字とほぼ同じ文字を使っています。略字はなく、たとえば「学校」の「学」は、台湾では「學」です。
 授業では、栗田先生が台湾一周旅行で撮影された写真を用いて、台湾の漢字を解説して頂きました。「車站」(しゃたん)は「鉄道の駅」、「旅游服務中心」(りょゆうふくむちゅうしん)は「観光案内所」です。「中心」は文字通り「センター」の意味です。「月台」(げつだい)は「駅のホーム」で、日本語では「歩廊」になります。「行李」(こうり)は、昔の日本では衣類などを入れて保存する、柳の枝や竹などで編んだ箱のことですが、もともとは「旅の荷物」や「手荷物」という意味です。「小心」(しょうしん)は「気をつけましょう」、「當心」(とうしん)は「危険、注意!」という意味で「小心」の場合よりも、もっと重大な場合に使われます。
 台湾は日清戦争後の50年間、日本の植民地であったことや、台湾には富士山よりも高い、標高3952mの玉山(ぎょくざん)という山があり、植民地時代に明治天皇がこの山を新高山(にいたかやま)と名付けたことなど、歴史についても教えて頂きました。

【第二時限】吉川伸治先生(神奈川県内広域水道企業長、前神奈川県副知事)

 吉川先生は、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市で設立した特別地方公共団体、県内広域水道企業団で企業長を務められています。授業では、水道の歴史、世界の中の日本、日本の中の神奈川の水道、水道の課題について教えて頂きました。
 世界で初めて建設された水道は、今から2300年前、水不足を解消するために作られた古代ローマの水道橋です。水道はコンクリート製で水質まで管理されていたそうです。日本の水道の発祥は500年程前、小田原城下の「小田原早川上水」です。徳川家康は、小田原用水をお手本にして江戸に水道を引きました。近代水道は明治20年の横浜に始まり、函館、長崎と港湾都市から整備されていきました。水道水を安全に飲める国は世界に15ケ国あり、日本はその中の1つです。日本の水道水は70以上の水質基準項目で厳しく管理され、世界最高の安全水準にあります。
 神奈川県には4つのダムと、相模川と酒匂川の2つの河川があり、平成13年に宮ケ瀬ダムが稼働して以来、取水制限なく安定取水が実現できています。また、神奈川の水はよごれやにごりが少なく、東京都の「高度浄水法」とは異なる「ろ過法」によって作られています。水道の課題は、地震や大雨等の自然災害から水道施設を守ること、人口減少・給水量低下に伴う収入減と水道料金問題、水道事業に携わる技術者の確保などです。企業団では、酒匂川と相模川をつなぎ、どちらでも水を流せるようにする防災対策を進められています。最後に、水循環の仕組みと水源環境保全、山や森林の整備の大切さについて教えて頂きました。


 次回、2月度の授業は、2月10日(日)を予定しています。第一時限は栗田先生、第二時限は萩原一夫先生(認定NPO経営支援NPOクラブ理事・元物産キャピタル社長 ドイツ三井物産経理・財務担当)をお招きします。萩原先生の講義タイトルは、「ドイツの戦後リーダーとドイツ現代史」です。