2017年3月15日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成29年3月度の授業

平成29年3月12日(日)に3月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 今月は、江戸時代の川柳「おっかさん また越すのかと 孟子言い」と、落語「厩火事」について解説して頂き、幕末期に庶民の間で川柳や落語が好まれた背景には、寺子屋の普及と識字率の高さがあったことを学びました。
 「おっかさん また越すのかと 孟子言い」は、前回の授業で学んだ「孟母三遷の教え」を題材にした川柳です。「厩(うまや)火事」は「厩焚けたり。子、朝より退きて曰く、人を傷なえりやと。馬を問わず。」という『論語』を題材にした落語です。川柳を読んだり落語を理解するためには、文字が読めなければなりません。幕末期の江戸の識字率は70~80%、江戸の中心部では90%と言われています。識字率とは、文字の読み書きができる人の割合です。現代の全世界の識字率は75%であり、当時の識字率がとても高かったことが分かります。また、人々が読み書きを学んだ江戸時代の寺子屋は16560もあったそうです。現代の日本の小学校の数は22000です。
 栗田先生は、江戸時代が平和な時代であり、人々が学問を大事にしていたことや、日本の国土が比較的小さいことが寺子屋が普及した理由なのでは、と考えられているそうです。

【第二時限】藤原勇彦先生(ジャーナリスト・元朝日新聞記者)

 藤原先生は、長野県軽井沢町の森の中に住んでいます。軽井沢町では熊やサルが頻繁に目撃され人と隣り合わせで暮らしていますが、それは森が豊かな証拠とも考えられます。
 森の起源はデボン紀に遡り、現代の森は白亜紀の後にできたもので、そこで樹上生活を始めた哺乳類がサルでした。食料が豊かで平穏な森の生活の中で、サルは原初的な「個性」と「文化」を形作り、進化の過程でそれを受け継いだ人は、文化の力で地球全体に広がっていきました。今から約1万年前、文明が始まり人の力は森の在り方を左右するまでになりました。青銅器と陶器の製造のため木を伐りつくした古代ギリシャ文明がその一例です。それでも現在まで、森は私たちと密接な関係にあり、人間の感性の源であることを学びました。
 授業の後半では、現代の世界や日本の森の状況、林業が森を若返らせる仕事であること、小田原の近辺にある真鶴御林、函南原生林について紹介して頂きました。「ぜひ、森に入ってみてください」が先生からのメッセージです。

 次回、平成29年4月9日(日)は、第八期の最初の授業になります。第一時限は栗田亘先生、第二時限は窪田哲夫先生(拓殖大学客員教授)をお招きします。窪田先生の講義タイトルは、「日本人の心、佐藤一斎『言志四録』(大切な言葉)」です。

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